去勢・避妊手術

去勢・避妊手術には、ペットと飼い主さまの快適な生活を続けていく上で、大きなメリットがあります。手術自体は日帰り・1泊程度の入院で実施できますが、わんちゃんやねこちゃんによって、必要な検査や処置、注意点も異なります。手術を行うベストなタイミングや、当院での去勢・避妊手術の具体的な流れなどについてもご紹介します。

去勢・避妊手術の重要性

去勢・避妊手術の重要性去勢・避妊手術は、飼い主さまの望まないわんちゃんやねこちゃんの妊娠や出産を避けることが主な目的ですが、それ以外にも将来の病気を未然に防ぐことや、飼い主さまとの快適な日常生活にもつながります。

わんちゃんの去勢・避妊で予防できる病気

オスの場合

会陰ヘルニア、前立腺疾患、精巣腫瘍など

メスの場合

乳腺腫瘍、子宮蓄膿症、卵巣・子宮の腫瘍など

わんちゃんの避妊手術について

わんちゃんの避妊手術初めての発情の前に手術を行うことができれば、乳腺腫瘍の予防にとても効果的です。その予防率は99.5%と非常に高く、ほぼ100%に近い数字となっています。しかし、1回目の発情後には92%、2回目では74%まで予防率が下がってしまうというデータもありますので、早めの処置がポイントといえます。

ねこちゃんの去勢・避妊手術で予防できる病気

ねこちゃんの去勢・避妊手術で予防できる病気ねこちゃんはマーキング(スプレー行動)をはじめると、癖になってしまうケースが多くありますが、去勢手術をすることで、そうした部屋の中でのマーキングを未然に防ぐことができます。

また、ねこちゃんの乳腺腫瘍は悪性であるケースの割合が高く、気付いた時には手遅れの状態になっている場合も多くありますが、適切な時期に避妊手術を行うことが、予防の上でとても有効です。その予防効果は6ヶ月齢までに手術をした場合は91%、12ヶ月齢までに手術をした場合は86%とも言われています。

手術時の注意

手術時の注意当院ではわんちゃんやねこちゃんの痛みの緩和のため、術前から術後まで鎮痛剤を使用したペインコントロールを積極的に行なっています。痛みの感覚はそれぞれ個体差がありますので、わんちゃんやねこちゃんの状態を見ながら必要に応じて行っており、規定料金に追加するかたちで痛み止めの処置を行うことも考えられます。

また、麻酔時のリスクを低減させるための術前検査(血液検査やレントゲン検査)をおすすめしています。術前検査をしないという選択肢もありますが、話せないペットの健康状態は見た目からだけではわからないことも多く、より安全で効果的な手術のため、簡単な検査でも受けていただくことを基本的にはおすすめしております。

去勢手術のメリット・デメリット

去勢手術のメリット

  • 望まない交配の予防ができる
  • マーキング、マウンティングなどの抑制につながる
  • 発情中のメスによるストレスの軽減される
  • 生殖器系の病気を将来的に予防できる

去勢手術のデメリット

  • 麻酔のリスクがある
  • ケースによってはマーキング、マウンティングなどが抑制されない
  • 肥満になりやすくなる

避妊手術のメリット・デメリット

避妊手術のメリット

  • 望まない妊娠の予防ができる
  • 偽妊娠を予防できる
  • 発情期のストレス軽減される
  • 発情出血がなくなる(犬の場合)
  • 生殖器系の病気 を将来的に予防できる

避妊手術のデメリット

  • 麻酔のリスクがある
  • 尿失禁を起こす場合もある
  • 肥満になりやすくなる

乳歯遺残の抜歯

小型犬では乳歯が自然に抜けず、口の中に残り続けてしまうケースが少なくありませんが、去勢・避妊手術をする時期になっても、乳歯が残っている場合は残っている乳歯の抜歯を同時に行うこともできます。

乳歯を放置し続けると歯並びに問題が起きるだけでなく、口の中に傷ができやすくなって、汚れもたまりやすくなります。若いうちから歯周病につながるリスクが高まりますので、抜けない乳歯は適切な時期に抜歯をすることがおすすめになります。

去勢・避妊手術の流れ

1診察・検査

低年齢のケースでは抜歯が必要な乳歯やおへそのヘルニアの有無など、避妊・去勢手術以外に必要な処置の有無を確認して、必要であればその処置も行います。中年齢の場合、基礎疾患がないかより細かい検査を実施する必要があります。

2手術の予約

手術が可能か検査結果を踏まえて判断し、手術が可能であれば手術日を調整していきます。手術の当日は獣医師の指示に従って食事を与えてください。

手術の当日は絶食させるのがかつて一般的でしたが、特に子犬や子猫、闘病中の子は体に蓄えられるエネルギーや栄養が比較的少ないことから、手術前の栄養の給与や絶食時間の短縮が治療に効果的であることが、近年わかってきています。その子その子にあわせた絶食指示がありますので、スタッフにご相談ください。

3手術

当院では手術時に、わんちゃんやねこちゃんの痛みを可能な限り抑制します。手術時の痛みによるストレスが、傷の治りに悪影響を与えてしてしまうからです。そのため、鎮痛剤は痛み始めてから使うのではなく、痛む前に使用して、なるべく痛みを感じさせないようにするのが基本的な方針です。

4退院

避妊・去勢手術後の生活の注意点について、退院時にご説明いたします。手術は若い患者さんであれば日帰りもしくは1泊くらいが目安です。